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傾向 [芝居]

 焦りと虚無とがごく短い時間に交錯する。今にも切れそうな糸を手繰りながら見つかるなんでもない事柄。思い余って切ってしまわないように大事にしていると次の瞬間、どうでもいいものになる。また別の糸を手繰り続けているうちにこんがらがって捨ててしまうと、何かそこにとてつもなく大事なものがあったような気がして後悔する。忘れた頃に、どうでもいいと思った事柄が大事に思えてきて、一所懸命思い出そうとするが捕まえることがどうしてもできない。
 堂々巡りの身体は時間制限いっぱいで、ああ無駄だった、と負けを宣言する。
 何も持たず、何も追いつかず、何も考えることなしに、始める。
 毎回同じ事のはずなのにこの過程を踏まないとできない。
 浮き上がる身体にのせられる声が、あさっての方角から俯瞰する自らの意識によって遊ばされる。湧き上がる染み付いた何かが背骨に通った見えない絶対切れない糸を引き上げ、操り人形のようにカタカタと身体をゆする。眼球は一縷の望みを希望へ変えるために一点を凝視するように固定され、腕や足は思っても見ない角度へと曲がっていく。息を引くときに出た声が懐かしい。身体を物理的に成り立たせている皮膚という境界が少し溶けたり際立ったりしながら、五臓を掴んで頭頂からフレアを放出してみる。
 噴水のように吹き出るそれは七色よりもっと複雑で美しく、それを見ながらその向こうへ行きたくなり唄い出す。
 次はあるのだろうかと思えてしまう程度なのだから、次はまたある。
 Over the Rainbow

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