イシャはどこだ! [白昼夢]
波打つコンクリートの隙間から這い出て僕はイシャを探していた。
鼻を押さえていないと鼻水がどんどん流れてしまうのだ。早くしないと脳まで溶けて流れ出てしまうではないか。
耳の中に入ってる蟻たちがいっせいに騒ぎ出す。蟻たちは内耳を通過して僕の眼球の裏側までまわり、6本の手足と触覚でくすぐっている。必死に眼球を動かしてやめさせようとするが無駄な試み。
凍えるような強風が吹きすさぶ中、飛ばされぬよう冷たいコンクリートの壁を手でおさえながら一歩ずつ進もうとするが、泥沼のようなアスファルトに足がすぐに埋まってしまい思うように前進できないのだった。流れ出る鼻水を片手で押えつつすれ違う顔のない影のような人々にすがるようなまなざしを向けて僕は叫ぶ。
「イシャはどこだ!」
電線の風鳴りだけがこだまする、吸い込まれそうな深い蒼色をした天を仰いで僕は両手を合わせ祈った。
震える腿をあげ心が遠くにいってしまいそうになりながら踏み出す。一歩。一歩。
泥沼のアスファルトを越えてとげとげの石畳に出たとき、僕は神を信じそうになった。義侠心というものがあったのだろうか。どこかで聞いたような言葉が反復される脳はすでに溶けかかっているのだろうか。
咽び泣くような鼻水をすする音にふと我に返り、ぐさぐさと足につきささるとげとげの石畳を歩む。
ゆりかもめが僕の足元に舞い降りなにやらしゃべっている。
「するとあなたはイシャを探しているのですね?」
もともと高い周波数にいくつもの不快な奇数次高調波が重なって耳に響くその声に、踏み潰してしまいたくなる衝動にかられながら、ゆりかもめをやりすごす。巨大な壁のように押し寄せてくる顔ナシたちは僕の行くてを阻もうとしているようだ。
寒さで手足の感覚もなくなってきた頃、突然それは目の前に現れた。深い地の底から音もなく生え出てきたドアに僕は足を踏み入れた。どんよりとした空気が充満している室内の受付にむかって、満身創痍の僕は1mを無限とも思われる時間をかけて進む。
意味のない質問が嵐のように降ってくる。
「妊娠していませんか?」
「血圧はいくつですか?」
僕はやむを得ず、シリツしてもらうよう頼んだのだった。
診察室は狭く、直線や直角というものが一切なかった。それでも担当医は100mも先から僕へ問診を始めるのだった。
「そんな遠くから麻酔ができるのですか?」
僕はたまらなくなって叫んだが、聞き入られることはなく、混迷の暗闇に堕ちていくのだった…
それからというもの、僕はこの蛇口をひねるといつでも鼻水を好きなときに流すことができるようになったのだ。
***************************
ああああ!冗談書いてる場合じゃねー!
とにかく医者(イシャ、じゃなく)行って、アレロックと点眼・点鼻薬もらってかえり、早速飲んでたらして噴霧した。
おおお、効いてくる。人間に戻ってくる!
やっと仕事ができる!
…が大きな落とし穴があるのだ、アレロックは。
服用してしばらくの間、ものすごい眠気に襲われる…
ひー眠いよお。だめだ、圧倒的睡魔。
のたうちながらもすでに15:30をまわり、打合せのため外出する。
ああ。生きて帰れますように…
鼻を押さえていないと鼻水がどんどん流れてしまうのだ。早くしないと脳まで溶けて流れ出てしまうではないか。
耳の中に入ってる蟻たちがいっせいに騒ぎ出す。蟻たちは内耳を通過して僕の眼球の裏側までまわり、6本の手足と触覚でくすぐっている。必死に眼球を動かしてやめさせようとするが無駄な試み。
凍えるような強風が吹きすさぶ中、飛ばされぬよう冷たいコンクリートの壁を手でおさえながら一歩ずつ進もうとするが、泥沼のようなアスファルトに足がすぐに埋まってしまい思うように前進できないのだった。流れ出る鼻水を片手で押えつつすれ違う顔のない影のような人々にすがるようなまなざしを向けて僕は叫ぶ。
「イシャはどこだ!」
電線の風鳴りだけがこだまする、吸い込まれそうな深い蒼色をした天を仰いで僕は両手を合わせ祈った。
震える腿をあげ心が遠くにいってしまいそうになりながら踏み出す。一歩。一歩。
泥沼のアスファルトを越えてとげとげの石畳に出たとき、僕は神を信じそうになった。義侠心というものがあったのだろうか。どこかで聞いたような言葉が反復される脳はすでに溶けかかっているのだろうか。
咽び泣くような鼻水をすする音にふと我に返り、ぐさぐさと足につきささるとげとげの石畳を歩む。
ゆりかもめが僕の足元に舞い降りなにやらしゃべっている。
「するとあなたはイシャを探しているのですね?」
もともと高い周波数にいくつもの不快な奇数次高調波が重なって耳に響くその声に、踏み潰してしまいたくなる衝動にかられながら、ゆりかもめをやりすごす。巨大な壁のように押し寄せてくる顔ナシたちは僕の行くてを阻もうとしているようだ。
寒さで手足の感覚もなくなってきた頃、突然それは目の前に現れた。深い地の底から音もなく生え出てきたドアに僕は足を踏み入れた。どんよりとした空気が充満している室内の受付にむかって、満身創痍の僕は1mを無限とも思われる時間をかけて進む。
意味のない質問が嵐のように降ってくる。
「妊娠していませんか?」
「血圧はいくつですか?」
僕はやむを得ず、シリツしてもらうよう頼んだのだった。
診察室は狭く、直線や直角というものが一切なかった。それでも担当医は100mも先から僕へ問診を始めるのだった。
「そんな遠くから麻酔ができるのですか?」
僕はたまらなくなって叫んだが、聞き入られることはなく、混迷の暗闇に堕ちていくのだった…
それからというもの、僕はこの蛇口をひねるといつでも鼻水を好きなときに流すことができるようになったのだ。
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ああああ!冗談書いてる場合じゃねー!
とにかく医者(イシャ、じゃなく)行って、アレロックと点眼・点鼻薬もらってかえり、早速飲んでたらして噴霧した。
おおお、効いてくる。人間に戻ってくる!
やっと仕事ができる!
…が大きな落とし穴があるのだ、アレロックは。
服用してしばらくの間、ものすごい眠気に襲われる…
ひー眠いよお。だめだ、圧倒的睡魔。
のたうちながらもすでに15:30をまわり、打合せのため外出する。
ああ。生きて帰れますように…
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